351 |
1 |
今から友達に手紙を書く。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
イマカラ トモダチー テガミュー カク。 |
|
トモダチニが融合してトモダチーとなる。テガミオのioが融合してテガミューとなる。 |
単文《平叙文》 |
動詞:断定非過去 |
①起点(カラ)、①相手(ニ)、①対象(ヲ) |
|
352 |
2 |
筆で手紙を書く人もいる。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
フデデ テガミュー カク モンモ オル。 |
|
テガミオのioが融合してテガミューとなる。 |
複文(名詞修飾子)《平叙文》 |
動詞:運体非過去
動詞:断定非過去 |
①手段(デ)、①対象(ヲ)、②累加(モ) |
|
353 |
3 |
家に帰って、すぐに手紙を書いた。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ウチェー インデ スグ テガミュー カータ。 |
ウチー インデ スグ テガミュー カータ。 |
ウチエのieが融合してウチェーとなる。テガミオのioが融合してテガミューとなる。インデはイヌル(帰る)の中止形。イヌルの活用型はシヌル(死ぬ)と同様の多段特殊型。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:中止【継起】動詞:断定過去 |
①着点(ニ)、①対象(ヲ)、⑥中止節(テ) |
すぐに |
354 |
4 |
書いた手紙を何度も読み返す。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
カータ テガミュー ナンベンモ ヨミナオス。 |
|
カイタのaiが融合してカータとなる。テガミオのioが融合してテガミューとなる。 |
複文(名詞修飾節)《平叙文》 |
動詞:連体過去
動詞:断定非過去 |
対象(ヲ) |
何度も |
355 |
5 |
夜は10時になったら、さっさと寝ろ |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ヨラー ジュージン ナッタラ サッサト ネンサイ。 |
ヨラー ジュージン ナッタラ サッサト ネーヤ。 |
ヨルワが融合してヨラーとなる。方言訳1のネンサイは「寝なさい」相当。命令形は方言訳2のネー(ヤ)だが男性が使うイメージのことばとのこと。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
名詞:なる
動詞:仮定【予測的条件】
動詞:命令 |
②主題(ハ)、①着点(ニ)、⑥条件節(タラ) |
夜、さっさと |
356 |
6 |
危ないから、車道を歩くな |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
アブナーケー シャドー アルキンサンナ。 |
アブナーケー シャドー アルクナ。 |
アブナイのaiが融合してアブナーになる。シャドーオのooが融合してシャドーとなる。ケーは原因・理由の接続助詞。方言訳1のアルキンサンナは「歩きなさるな」相当。禁止形は方言訳2のアルクナだが男性が使うイメージのことばとのこと。 |
複文(副詞節)《命令文(禁止)》 |
形容詞:断定非過去+原因・理由形式
動詞:禁止 |
①経過域(ヲ)、⑥原因・理由節(カラ) |
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357 |
7 |
この本は太郎にやろう |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
コノ ホンワ タローニ ヤロー。 |
|
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単文《平叙文(意志)》 |
動詞:意志 |
②主題(ハ), ①相手(ニ) |
この、やる |
358 |
8 |
昼から雨が降るだろう |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ヒルカラ アメガ フルジャロー。 |
・ヒルカラ アメガ フロージャー。
・ヒルカラ アメガ フロージャーナーカ。 |
方言訳1は「雨になるだろう」相当。「だろう」に相当する推量形式はジャロー。意志形のフローに「ではないか」にあたるジャー(ナーカ)が後接する形も推量を表す。 |
単文《平叙文(推量)》 |
動詞:推量非過去 |
①起点(カラ)、①主体(ガ) |
昼 |
359 |
9 |
春になれば、花が咲く。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ハルン ナリャー ハナガ サク。 |
|
ナレバが融合してナリャーとなる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
名詞:なる
動詞:仮定【総称的条件(一般条件)】
動詞:断定非過去 |
①着点(ニ)、①主体(ガ)、⑥条件節(バ) |
|
360 |
10 |
花子が窓を開けたら、虫が入ってきた |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ハナコガ マドー アケタラ ムシガ ハーッテ キタンヨ。 |
|
マドオのooが融合してマドーとなる。ハイッテのaiが融合してハーッテとなる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:仮定【事実的条件】
動詞:断定過去 |
①他動詞主体(ガ)、①対象(ヲ)、①主体(ガ)、⑥条件節(タラ) |
てくる |
361 |
11 |
朝はあまりテレビを見ない。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
アサー アンマシ テレビュー ミン。 |
|
アサワが融合してアサーとなる。テレビオのioが融合してテレビューとなる。動詞の否定非過去形は-ン。 |
単文《平叙文》 |
動詞:否定(断定非過去) |
①対象(ヲ)、②主題(ハ) |
朝、あまり |
362 |
12 |
花子はそんな番組なんか見はしない。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ハナカー ソガーナ バングミャー ミャーセン。 |
|
ハナコワが融合してハナカーとなる。ソガイナのaiが融合してソガーナとなる。バングミワが融合してバングミャーとなる。ミワセンが融合してミャーセンとなる。「なんか」にあたる形式は不使用とのこと。 |
単文(名詞修飾句)《平叙文》 |
動詞:否定(断定非過去・とりたて) |
②主題(ハ)、②評価(ナンカ) |
そんな |
363 |
13 |
花子は昨日テレビを見なかった。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ハナカー キノー テレビュー ミダッタ。 |
・ハナカー キノー テレビュー ミナンダ。
・ハナカー キノー テレビュー ミンカッタ。 |
ハナコワが融合してハナカーとなる。テレビオのioが融合してテレビューとなる。動詞の否定過去形は-ダッタ、-ナンダが古くから使う形で-ンカッタは新しい。 |
単文《平叙文》 |
動詞:否定(断定過去) |
②主題(ハ)、②対比(ハ)、①対象(ヲ) |
昨日 |
364 |
14 |
花子はテレビを見ないで、本ばかり読んでいる。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ハナカー テレビュー ミンコーニ ホンバッカシ ヨンドル。 |
・ハナカー テレビュー ミーデ ホンバッカシ ヨンドル。
・ハナカー テレビュー ミント ホンバッカシ ヨンドル。 |
ハナコワが融合してハナカーとなる。テレビオのioが融合してテレビューとなる。動詞の否定中止形(付帯状況)は-ンコーニ、-イデ、-ントを使用。継続形(習慣)は-トル。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:否定(中止【付帯状況】)
動詞:継続【習慣】(断定非過去) |
①対象(ヲ)、②主題(ハ)、②限定(バカリ)、⑥中止節(テ) |
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365 |
15 |
テレビを見なければ、この仕事は今日中に終わっただろう。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
テレビュー ミダッタラ コノ シゴター キョージューニャー {オワッタジャロー/オワッタロー/オワッタロージャー/オワッタロージャーナーカ}。 |
・テレビュー ミナンダラ コノ シゴター キョージューニャー オワッタジャロー。
・テレビュー ミンカッタラ コノ シゴター キョージューニャー オワッタジャロー。 |
テレビオのioが融合してテレビューとなる。シゴトワが融合してシゴターとなる。キョージューニワが融合してキョージューニャーとなる。動詞の否定仮定形は-ダッタラ、-ナンダラが古くから使う形で-ンカッタラは新しい。「だろう」に相当する推量形式はジャロー。他に断定過去形+ローの形も推量を表す。断定過去形+ローにジャー(ナーカ)を後接した形も推量を表す。方言訳1のみ文末の推量表現のバリエーションを示した。 |
複文(副詞節)《平叙文(推量)》 |
動詞:否定(仮定【反事実的条件】)
動詞:推量過去 |
①対象(ヲ)、①時点(ニ)、②主題(ハ) |
今日 |
366 |
16 |
熱を出した子どもに薬を飲ませた。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ネツー ダータ コドメー クスリュー ノマシタ。 |
|
ネツオのuoが融合してネツーとなる。コドモエのoeが融合してコドメーとなる。クスリオのioが融合してクスリューとなる。 |
複文(名詞修飾節)《平叙文》 |
動詞:連体過去
動詞:使役(断定過去) |
①対象(ヲ)、①相手(被使役者:ニ) |
|
367 |
17 |
お母さんが妹{を/に}お使いに行かせた。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
オカーサンガ イモートー ツカーニ イカシタ。 |
オカーサンガ イモートー ツカーニ ダータ。 |
イモートオのooが融合してイモートーとなる。ツカイのaiが融合してツカーとなる。方言訳2のダータは「出す」のイ音便形ダイタのaiが融合したもの。 |
単文《平叙文》 |
動詞:使役(断定過去) |
①主体(使役者:ガ)、①対象/相手(被使役者:ヲ/ニ)、①目的(ニ) |
お母さん、妹 |
368 |
18 |
弟とけんかして、私だけお父さんにおこられた。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
オトートト ケンカシテ ウチダケ オトーサンニ シカラレタ。 |
オトートト ケンカシテ ウチダケ オトーサンニ オーメダマ クロータ。 |
一人称代名詞はウチを使用。ウチは女性語で男性はワシを使用する。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:中止【原因・理由】
動詞:受身【直接】(断定過去) |
①相手(ト)、①相手(受身の動作主:ニ)、②限定(ダケ) |
弟、一人称代名詞、お父さん |
369 |
19 |
留守中に泥棒に入られた。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ルスチューニ ドロボーガ ハーッタンヨ。 |
ルスチューニ ドロボーニ ハーラレタンヨ。 |
方言訳1のハーッタ、方言訳2のハーラレタはそれぞれハイッタ、ハイラレタのaiが融合した形。方言訳1は能動態の表現。受動態の方言訳2よりも自然とのこと。 |
単文《平叙文》 |
動詞:受身【間接】(断定過去) |
①時点(ニ)、①相手(受身の動作主:ニ) |
|
370 |
20 |
この子はまだ小さいけれども、難しい漢字が書ける。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
コノ カー マダ コマーガ イタシー カンジュー カケル。 |
コノ カー マダ コマーガ イタシー カンジュー ヨー カク。 |
コワが融合してカーとなる。コマイ(小さい)のaiが融合してコマーとなる。カンジオのioが融合してカンジューとなる。イタシーは「難しい」の意。方言訳2のヨー カクは「上手に書く」の意。ヨーのアクセントは「高低」となり、否定文に用いられる例文22のヨー(低高)とは異なる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:断定非過去+逆接形式
形容詞:連体非過去
動詞:可能【能力】(断定非過去) |
①対象(ガ)、②主題(ハ)、⑥逆接(ケレドモ) |
この、まだ |
371 |
21 |
今日は時間があるので、ゆっくり手紙が書ける。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
キョーワ ジカンガ アルケー ユックリ テガミュー カケル。 |
|
テガミオのioが融合してテガミューとなる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:連体(ノ)非過去+原因・理由形式
動詞:可能【状況】(断定非過去) |
①主体(ガ)、①対象(ガ)、②主題(ハ)、⑥原因・理由節(ノデ) |
今日 |
372 |
22 |
この子はまだ小さいので、平仮名しか書けない。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
コノ カー マダ コマーケー ヒラガナシカ カケン。 |
コノ カー マダ コマーケー ヒラガナシカ ヨー カカン。 |
コワが融合してカーとなる。コマイ(小さい)のaiが融合してコマーとなる。ケーは原因・理由の接続助詞。方言訳2のヨー カカンのヨーのアクセントは「低高」となり、肯定文に用いられる例文20のヨー(高低)とは異なる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:連体(ノ)非過去+原因・理由形式
形容詞:連体非過去
動詞:可能・否定【能力】(断定非過去) |
②主題(ハ)、②限定(シカ)、⑥原因・理由節(ノデ) |
この、まだ |
373 |
23 |
机がないので、字がちゃんと書けない。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
ツクエガ ナーケー ジュー シャント カケン。 |
|
ナイのaiが融合してナーとなる。ジオのioが融合してジューとなる。ケーは原因・理由の接続助詞。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:連体(ノ)非過去+原因・理由形式
動詞:可能・否定【状況】(断定非過去) |
①主体(ガ)、①対象(ガ)、②主題(ハ)、⑥原因・理由節(ノデ) |
ちゃんと |
374 |
24 |
太郎は今、隣の部屋で本を読んでいる。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
タローワ イマ トナリノ ヘヤデ ホン ヨミョール。 |
|
継続形(進行)は-ヨルで、基幹イ段形(ヨミ)と融合してヨミョールとなる。 |
単文《平叙文》 |
動詞:継続【進行】(断定非過去) |
①場所(デ)、①対象(ヲ)、②主題(ハ)、③連体(ノ) |
|
375 |
25 |
太郎は花子{に/から}借りた本をもう最後まで読んでいる。 |
広島県三次市三和町 |
女 |
1942 |
タローワ ハナコニ カシテモロータ ホン ハー シマイマデ ヨンドル。 |
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「借りた」は「貸してもらった」に相当するカシテモロータが自然とのこと。ハーは「もう」に相当する副詞。継続形(結果)は-トル。 |
複文(名詞修飾節)《平叙文》 |
動詞:連体過去
動詞:継続【結果】(断定非過去) |
①相手(ニ/カラ)、①対象(ヲ)、①終点(マデ)、②主題(ハ) |
もう |