276 |
26 |
もっと静かなところで寝たい。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ンナピッチャ カギッチャヌ トゥカナン ニヴヴァー。 |
|
・「静か」という単語は何というかわからないと言われたため,ここでは,「カギッチャ(きれい))」という単語に置き換えられている。
・場所(デ):ン
・もっと:ンナピ/ンナピッチャ/ンナピッツァ
・ニヴヴァー:寝る,寝よう(「ニヴ」の意志形) |
複文(名詞節)《平叙文(希望)》 |
形容名詞:連体非過去
動詞:希望(断定非過去) |
①場所(デ) |
もっと |
277 |
27 |
夕焼けで空が赤い。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ユサラビヤキバシドゥ ティンヌ アカーアカ ウーヤー。 |
|
・起因(デ):バシ,または,シ(ー)
・夕焼け:ユサラビヤキ(cf. 朝焼け:ストゥムティヤキ)
・アカーアカ ウーヤー:赤いね。(直訳:赤々いるね,また「アカーアカシ ウーヤー」でも可) |
単文《平叙文》 |
形容詞:断定非過去 |
①起因(デ)、①主体(ガ) |
|
278 |
28 |
子どもの頃は一人でトイレに行くのがとてもこわかった。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ヤラビヌ トゥキャー タフケーシ フヅンカイ イキヅムヌマイ ウトゥルスムヌドゥ アターヤー。 |
|
・方言訳の直訳:子供の時は一人でトイレに行くのも怖かったね。
・トゥキャー:時は(「トゥキ(とき)」+「ヤ(は)」)
・手段(デ):シー(タフケーシ「一人で」)
・「イキヅ ムヌ(行くの)」は「イキヅ(行く)」+「ムヌ(もの)」からなっている。
・ウトゥルスムヌドゥ アター:「ウトゥルス(怖い)」+「ムヌ(叙述接辞)」+「ドゥ(焦点助詞)」+「アター(だった)」(なお,「アター」は「ヤター」ともいうが,「ヤター」が焦点助詞「ドゥ」のあとに現れる場合は,「アター」になることも可能である。
・「とても」は久松方言では「ウカース」であるが,ここでは訳されていない。 |
複文(名詞節)《平叙文》 |
動詞:連体(ノ)非過去
形容詞:断定過去 |
①手段(デ)、①着点(ニ)、①対象(ガ)、②主題(ハ)、③連体(ノ)、⑤名詞節(ノ) |
とても |
279 |
29 |
うどんやそばなら安いだろう。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ソゥバトゥカ ウドン ヤチカー ヤスムヌパズヤー。 |
|
・方言訳の直訳:そばとかうどんだったら安いだろうね。
・並列(ヤ):トゥカ
・主題(ナラ):ヤチカー(直訳:だったら) |
単文《平叙文(推量)》 |
形容詞:推量非過去 |
②主題(ナラ)、④並列(ヤ) |
|
280 |
30 |
古本屋に本を高く買い取ってもらった。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
フルホンヤヌドゥ ホンヌ タカータカシ カイ フィーターバー。 |
|
・方言訳の直訳:古本屋が本を高く買ってくれたよ。
・ホンヌ:「本が」と「本を」の両方の意味があるが,ここでは「本を」の意味である。
・「高く」という副詞用法は,重複形の「タカータカ(シ)」を使うことが多い。
・「カイ フィーターバ」は直訳すると,「買ってくれたよ」になる。「バー」はここでは説明を表す接辞であり,「~よ」と訳されることが多い。 |
単文《平叙文》 |
形容詞:副詞用法
動詞:断定過去 |
①相手(ニ)、①対象(ヲ) |
てもらう |
281 |
31 |
天気が悪くて、誰も来ない。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ワーツキヅヌ バヅカーバドゥ,トーマイ クーン |
|
・原因・理由を表す場合は,久松方言では,「テ形」相当の形式を使わず,原因・理由を表す「-バ(ドゥ)」を使う。
・天気:ワーツキヅ
・来ない:クーン |
複文(テ節)《平叙文》 |
形容詞:中止【原因・理由】
動詞:否定(断定非過去) |
①主体(ガ)、⑥中止節(テ) |
だれも |
282 |
32 |
もっと安ければ、買えたのに。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ンナピッチャ ヤスーヤス ウキヅチカー カーレータームヌ。 |
|
・単に「安かったら」という場合は,「ヤスカ(ー)チカー」になることが多い。しかし,ここでは,「ヤスーヤス ウキヅ」(直訳:安々おく)のあとに,条件を表す「-チカー」が後続している。「ウキヅ」はここでは,補助動詞の用法であり,「すでにそうなっている」ことを表し,「~てある」と訳されることが多い。
・逆接(ノニ):ムヌ |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:仮定【反事実的条件】
動詞:可能【状況】(連体(ノ)過去+逆接形式) |
⑥条件節(バ)、⑥逆接(ノニ) |
|
283 |
33 |
一人で遊びに行っても、楽しくない。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
タフケーシ アスピヅガ イカンマイ ウムッシッファ ニャーン。 |
|
・譲歩:-(バ)ンマイ
・形容詞のあとに「-ッファ ニャーン」(「フ(く)」+「ヤ(は)」+「ニャーン(ない)」)をつけると,否定となる。
・手段(デ):シ
・目的(ニ):ガ |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:譲歩
形容詞:否定(断定非過去) |
①手段(デ)、①目的(ニ)、⑥逆接(テモ) |
|
284 |
34 |
天気さえよくなれば、出かけられる。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ワーツキヅヌデーム゜ ノーヅチカラー イディレードゥッシャー。 |
|
・「天気が良くなる」場合は,動詞「ノーヅ」を使う。
・さえ:デーム゚
・出られる:イディレードゥス
・「ッシャー」は「イディレードゥス」の「ス」と終助詞「ヤー(ね)」が融合した発音である。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:なる
動詞:仮定【予測的条件】
動詞:可能【状況】(断定非過去) |
②極限(サエ)、⑥条件節(バ) |
|
285 |
35 |
太郎はまだ中学生だ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
タローヤ ンナダ チューガクセー。 |
|
・まだ:ンナダ
・テンスが非過去の場合は,コピュラが現れない。 |
単文《平叙文》 |
名詞:断定非過去 |
②主題(ハ) |
まだ |
286 |
36 |
子どものときは1000円でも大金だった。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
ヤラビヌ トゥキャー センエンマイ ウカース タイキンドゥ アタードー。 |
|
・名詞の断定過去は名詞のあとに,「(ドゥ) ヤター/(ドゥ) アター」がつく。また,28でも説明したように,「ヤター」が焦点助詞「ドゥ」のあとに現れる場合は,「アター」になることが可能である。
・千円でも:センエンマイ(直訳:千円も) |
単文《平叙文》 |
名詞:断定過去 |
②主題(ハ)、②極限(デモ)、③連体(ノ) |
|
287 |
37 |
これはどろぼうの足跡だろう。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
クヤ ヤマグヌ パギヅアトゥベーヤー。 |
|
・泥棒:ヤマグ
・足跡:パギヅアトゥ
・「ベーヤー」または「ベヤー」は「だろう」「かね」などと訳されることが多い。 |
単文《平叙文(推量)》 |
名詞:推量非過去 |
②主題(ハ)、③連体(ノ) |
これ |
288 |
38 |
それは私の傘で、あれは先生の傘だ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
クヤ バガ サナ,カヤ シンシーガ サナ。 |
|
・コピュラの中止形は存在しないため,この文は久松方言では中止節を使うことができない。
・傘:サナ |
複文(副詞節)《平叙文》 |
名詞:中止【並列】
名詞:断定非過去 |
②対比(ハ)、③連体(ノ) |
それ、あれ、一人称代名詞 |
289 |
39 |
もし明日いい天気なら、子どもたちを連れて、どこかへ行こう。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
アッツァー ワーツキヅヌ ノーヅチカラー,ッファヌキョー マーツキ サーリー,イザガラーンカイ イカディ |
|
・アッツァー:「アッツァ(明日)」+「ヤ(は)」
・仮定【予測的条件】の「なら」は「ヤチカー」(直訳:だったら)であるが,ここでは「ワーツキヅヌ ノーヅチ力ー(直訳:天気が直ったら)」が使われている。
・ッファヌキョー:「ッファ(子)」+「ヌキャ(複数)」+「ユ(対格)」
・「サーリー」は「連れる」の中止形である。動詞の中止形は,最後の音が伸びないことが多いが(e.g. イキヅ「行く」,イキ「行って」),伸びることも可能である(e.g. イキー「行って」)。一方,「サーヅ(連れる)」という動詞の場合は,「サーリー」のように最後の音が伸びることが多いが,伸びないことも可能である。これは,音韻句の構成と関係があると考えられるが,その仕組みは現時点では不明である。
・どこか:ンザガラー/イザガラー
・イカディ:「イキヅ(行く)」の意志形 |
複文(副詞節)《平叙文(意志)》 |
名詞:仮定【予測的条件】
動詞:中止【同時進行】
動詞:意志【勧誘用法】 |
①対象(ヲ)、①相手(ト)、①方向(ヘ)、⑧複数(タチ) |
明日、たち、どこか |
290 |
40 |
この傘と靴は私のではない。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
クヌ サナト クッツァ バガ ムヌ アランドー。 |
|
・「の」という代用形式はなく,代わりに「バガ ムヌ(私のもの)」としなければならない。
・名詞の否定は「名詞(+主題助詞)+コピュラの否定(アラン)」になる。この文では,「バガ ムヌ(私のもの)」のあとに,そのままコピュラの否定がつづく「バガ ムヌ アラン」の形式になっている。
・並列(ト)は久松方言では「トゥ」であるが,ここでは共通語の「ト」で訳されている。 |
単文《平叙文》 |
名詞:否定(断定非過去) |
②主題(ハ)、④並列(ト)、⑧名詞代用形式(ノ) |
この |
291 |
41 |
A:明日もここに来る(か)? B:うん、来ようと思っているよ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:アッツァマイ ウマンカイ クーディナ?
B:ム゜ー,クーッジドゥ ウムーバ。 |
|
・Bの発言の「思っているよ」は「ウムイ ウーバ」になるが,ここでは「ウムーバ(思うよ)」になっている。
・クーッジ:「クーディ(来る.意志)」+「チ(引用)」
・引用節:チ(ドゥ)
・明日:アッツァ
・ここ:ウマ |
A:単文《疑問文(真偽疑問)》
B:複文(引用節)《平叙文》 |
A:動詞:断定非過去
B:動詞:意志/動詞:継続【結果】(断定非過去) |
A:①着点(ニ)、②累加(モ)、⑦疑問(カ)
B:⑤引用節(ト)、⑦伝達(ヨ) |
A:明日、ここ
B:肯定応答詞 |
292 |
42 |
A:どうして来ないの(か)? 来るって言っていたじゃない(か)。 B:ごめん。ちょっと体調が悪いんだ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:ノーチガ クーンガ?クーディチドゥ ウターダラー?
B:イピッチャ ドゥーヌドゥ バヅカー。 |
|
・「ノーチガ クーンガ」の最初の「ガ」はWH疑問文専用の焦点助詞であり,最後の「ガ」はWH疑問文で使われる疑問を表す終助詞である。そのため「どうして」はほぼ焦点助詞がついている「ノーチガ」と訳される。
・「...チドゥ ウー/ウター」は直訳すると「とぞ いる/いた」になるが,「と言っている/言っていた」の意味になる。
・ダラー:相手への確認の形で非難や不満などを表す終助詞で,上昇調の「だろう?」に相当する表現である。
・「ごめん」は普通「ゴメン」や「スマンドー」などを使うが,ここでは訳されていない。
・イピッチャ:少し,「イピッツァ」とも。
・ドゥーヌドゥ バヅカー:体が悪い。
・25と同様に,「バヅカー」の「ヅ」は無声音の「カー」の前に現れる場合,無声化するため,実際の発音は「バスカー」になる。 |
A1:単文《疑問文(疑問詞疑問)》
A2:複文(引用節)《疑問文(確認要求)》
B:単文《平叙文》 |
A1:動詞:否定(連体(ノ)非過去)
A2:動詞:断定非過去/動詞:継続【進行】(断定過去)
B:形容詞:連体(ノ)非過去 |
A1:⑦ノダ、⑦疑問(カ)
A2:⑤引用節(ッテ)、⑦ジャナイカ
B:①対象(ガ)、⑦ノダ |
A:どうして
B:ごめん、ちょっと |
293 |
43 |
A:あそこにいるのは太郎(か)? B:いや、太郎ではなくて、次郎じゃない(か)? |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:カマン ウーソー タローナ?
B:アラン,カヤ タローヤ アラダナ,ジローパズドー? |
|
・人を表す形式名詞には「スゥ」があり,主題助詞がつく形は「ソー」である。
・「-ダナ」は否定の中止形であり,「アラダナ」は「ではなくて」という意味になる。
・否定応答詞は「アラン」である。これはおそらくコピュラの否定「アラン」と同根の形式だと思われる。
・カヤ:彼は/あれは
・「パズ」は共通語の「はず」と同根の形式であるが,久松方言の「パズ」は,形式名詞ではなく,終助詞であるため,「ジロー」と「パズ」の間に属格が入らない。また,久松方言の「パズ」は推量を表し,意味的には共通語の「だろう」に近い。 |
A:複文(名詞節)《疑問文(真偽疑問)》
B:複文(副詞節)《疑問文(確認要求)》 |
A:動詞:連体(ノ)非過去/名詞:断定非過去
B:名詞:否定(中止【並列】)/名詞:否定(断定非過去) |
A:①場所(ニ)、②主題(ハ)、⑤名詞節(ノ)、⑦疑問(カ)
B:⑥副詞節(テ)、⑦ジャナイカ |
A:あそこ
B:否定応答詞 |
294 |
44 |
A:どれがあなた(おまえ)の傘(か)? B:これがわたし(おれ)の傘だよ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:ノーヌガ ヴヴァガ サナ?
B:ウイガドゥ バガ サナドー。 |
|
・どれ/とちらは久松方言では「ンジュ/ンズゥ」であるが,「ノー(何)」を使うのがもっとも一般的である。
・サナ:傘
・ウイ:これ
・バガ:私の |
A:単文《疑問文(疑問詞疑問)》
B:単文《平叙文》 |
A:名詞:断定非過去
B:名詞:断定非過去 |
A:①主体(ガ)、③連体(ノ)、⑦疑問(カ)
B:①主体(ガ)、③連体(ノ)、⑦伝達(ヨ) |
A:どれ、二人称代名詞
B:これ、一人称代名詞 |
295 |
45 |
A:この本、読む(の)なら貸してやるよ。 B:その本ならもう読んでしまった。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:ウヌ ホンヌ ユマディ ヤチカー カラサッドー。
B:ウヌ ホン ヤチカー ユミオワヅドゥスター。 |
|
方言訳の直訳:
A:この本を読むなら貸すよ。
B:その本だったら読み終わるぞした。
・ユマディ ヤチカー:「ユマ-(読む,「ユム゚」の基幹3)」+「-ディ(意志)」+「ヤ(コピュラ)」+「-チカー(条件)」
・「ユミオワヅドゥスター」は直訳すると「読み終わるぞした」になる。
・「もう」は久松方言では「ンニャ」であるが,ここでは訳されていない。 |
A:複文(副詞節)《平叙文》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:連体(ノ)非過去+ナラ【認識的条件】
B:動詞:断定過去 |
A:②主題(無助詞)、⑦伝達(ヨ)
B:②主題(ナラ) |
A:この、てやる
B:その、もう、てしまう |
296 |
46 |
A:隣の家にどろぼうが入ったんだって。 B:え、そうなの? 隣に入った(の)なら、うちも気をつけなければならないね。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:トゥナヅヌ ヤーンカイドゥ ヤマグヌ ヅーターッツァ。
B:ア,アンチーナー?トゥナヅンカイドゥ ヅーター ヤーチカー,バンタマイ チューイ シーダカー ナランサイガ。 |
|
・「ッツァ」は伝聞を表すマーカーである。
・「アンシ ヤバン?」:「アンシ(このように/そのように/あのように)」+「ヤ-(コピュラ)」+「-バ(説明を求める)」+「ン(YN疑問文の疑問助詞「ナ」の縮約形)」
・認識的条件(ナラ):ヤ(ー)チカー
・サイガ:「~じゃない?,~だろう?,~だよ」という意味であり,相手の発言を反論したり,訂正したり,自分の主張・意見・情報などを相手に提示・確認したりするときに使われる。 |
A:単文《平叙文》
B1:単文《疑問文》
B2:複文(副詞節)《平叙文(当為)》 |
A:動詞:連体(ノ)過去
B1:名詞:連体(ノ)非過去
B2:動詞:連体(ノ)過去+ナラ【認識的条件】/動詞:否定(仮定) |
A:①着点(ニ)、①主体(ガ)、⑦ノダ、⑦伝聞(ッテ)
B1:⑦ノダ
B2:①着点(ニ)、②累加(モ)、⑦当為(ナケレバナラナイ)、⑦同意要求(ネ) |
|
297 |
47 |
A:雨が降りそうだから窓を閉めておいてくれ。 B:もう閉めてあるよ。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:アミヌ ッファッジ ウーバ,マドゥー シミ ウキ。
B:ンニャ シミドゥ ウキヅドー。 |
|
・アミヌ ッファッジ ウーバ:「アミ(雨)」+「ヌ(主格)」+「ッファディ(降ろう)」+「チ(引用,と)」+「ウー(いる)」+「-バ(理由)」。
・マドゥー シミ ウキ:「マドゥ(窓)」+「ユ(対格)」+「シミ(閉めて)」+「ウキ(~ておけ)」。
・シミドゥ ウキヅ:「シミ(閉めて)」+「ドゥ(焦点助詞)」+「ウキヅ(~ておく,~てある)」。 |
A:単文《命令文(依頼)》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:命令
B:動詞:断定非過去 |
A:①主体(ガ)、①対象(ヲ)、⑥原因・理由節(カラ)、⑦様態(ソウダ)
B:⑦伝達(ヨ) |
A:ておく、てくれる
B:てある |
298 |
48 |
A:そばを食べに行こうよ。 B:そばよりうどんのほうがいいな。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:スゥバ フォーガ イカディ。
B:スゥバユヅヅァカ ウドンヌドゥ マスヤー。 |
|
・目的(ニ):ガ
・比較(ヨリ):ユヅヅァ/ユヅヅァカ/ユヅヅァマイ
・~のほうがいい:ヌドゥ {マス/ゾーカー}
・伝達(ヨ)に当たる表現はここには現れていない。 |
A:単文《平叙文(勧誘)》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:意志
B:形容詞:断定非過去 |
A:①対象(ヲ)、①目的(ニ)、⑦伝達(ヨ)
B:⑧比較(ヨリ) |
B:~のほうがいい |
299 |
49 |
A:イロハ書店という本屋がどこにあるか知らない(か)? B:知っているよ。むこうに看板が見えるだろう? |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:イロハチヌ ホンヤヤ イザンガ アーガーラ ッサン?
B:ッシドゥードー,カマン カンバンヌ ミーレー ウーサイガ。 |
|
・Aチヌ B:AというB
・ホンヤヤ:ここでは,「ホンヤ+ヤ(主題)」が「ホンヤー」にならないのは,「ホンヤ」が借用語であるためである。借用語の場合は母音交替が起こらないことが多い。なお,この文においては,「ホンヤヌ(本屋が)」は使えない。
・どこ:イザ/ンザ
・疑問節のマーカーは「ガーラ」である。
・見える:ミーレー ウー(直訳:見られる)
・サイガ:「~じゃない?,~だろう?,~だよ」という意味であり,相手の発言を反論したり,訂正したり,自分の主張・意見・情報などを相手に提示・確認したりするときに使われる。 |
A:複文(疑問節)《疑問文(真偽疑問)》
B1:単文《平叙文》
B2:単文《疑問文(確認要求)》 |
A:動詞:否定(断定非過去)
B1:動詞:継続【結果】(断定非過去)
B2:動詞:推量非過去 |
A:①主体(ガ)、①場所(ニ)、⑤疑問節(カ)、⑦疑問(カ)、⑧連体引用(トイウ)
B1:⑦伝達(ヨ)
B2:①場所(ニ)、①対象(ガ) |
|
300 |
50 |
A:[本荘うどん]って食べたことがある(か)? B:うん、あれって本当においしいよね。 |
沖縄県宮古島市久松松原 |
男 |
1949 |
A:アヴヴァム゜スゥチェー フォーター クトー アーユ ッス?
B:ム゜ー。カヤ マーンチ ンマムヌヤー。 |
|
・アヴヴァム゚スゥ:油味噌
・チェー:引用助詞「チ」+主題助詞「ヤ」
・フォーター クトー アーユ ッス?:直訳は「食べたことありぞする?」になる。なお,「ユ」は肯否疑問文専用の焦点助詞である。
・カヤ:あれは
・ム゚ー:うん |
A:複文(名詞修飾節)《疑問文(真偽疑問)》
B:単文《疑問文(同意要求)》 |
A:動詞:連体過去/動詞:断定非過去
B:形容詞:断定非過去 |
A:②主題(ッテ)、⑦疑問(カ)
B:②主題(ッテ)、⑦同意要求(ヨネ) |
A:したことがある
B:肯定応答詞、あれ
※[]内は当該地域の名物料理。 |