76 |
26 |
もっと静かなところで寝たい。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
マット シズカノ {トコロ/バショ}デ ネタイ。 |
|
|
複文(名詞節)《平叙文(希望)》 |
形容名詞:連体非過去
動詞:希望(断定非過去) |
①場所(デ) |
もっと |
77 |
27 |
夕焼けで空が赤い。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ユーヤケデ ソラン アケー。 |
|
|
単文《平叙文》 |
形容詞:断定非過去 |
①起因(デ)、①主体(ガ) |
|
78 |
28 |
子どもの頃は一人でトイレに行くのがとてもこわかった。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ボコノ ジブンワ ヒトリデ ベンジョニ イクカ゜ スケ゜ー コワカットー。 |
|
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。
・「とても」にあたる俚言形は多いがここでは省略する。 |
複文(名詞節)《平叙文》 |
動詞:連体(ノ)非過去
形容詞:断定過去 |
①手段(デ)、①着点(ニ)、①対象(ガ)、②主題(ハ)、③連体(ノ)、⑤名詞節(ノ) |
とても |
79 |
29 |
うどんやそばなら安いだろう。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ウドンヤ ソバジャ(ー) ヤスイラ。 |
|
・仮定の「なら」がジャーとなる。
・山梨方言では,甲府市方言に限らず全県的に推量辞にラ,ズラを用いる。 |
単文《平叙文(推量)》 |
形容詞:推量非過去 |
②主題(ナラ)、④並列(ヤ) |
|
80 |
30 |
古本屋に本を高く買い取ってもらった。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
フルホンヤカ゜ ホンオ タカク カイトッテ クレトー。 |
フルホンヤニ ホンオ タカク カイトッテ モラットー。 |
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
単文《平叙文》 |
形容詞:副詞用法
動詞:断定過去 |
①相手(ニ)、①対象(ヲ) |
てもらう |
81 |
31 |
天気が悪くて、誰も来ない。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
テンキカ゜ {ワルクテ/ワリーカラ} ダレモ {コン/コネー}。 |
|
・甲府市方言を含む山梨西部方言では,否定形にはンが用いられやすい。 |
複文(テ節)《平叙文》 |
形容詞:中止【原因・理由】
動詞:否定(断定非過去) |
①主体(ガ)、⑥中止節(テ) |
だれも |
82 |
32 |
もっと安ければ、買えたのに。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
マット {ヤスケリャ(ー)/ヤスケロバ/ヤスイジャ} {カエタニ/カエレタニ/カエトーニ}。 |
|
・29と同様,仮定の「なら」がジャーとなる。
・20と同様,可能表現に「レ足す」の使用がある。
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:仮定【反事実的条件】
動詞:可能【状況】(連体(ノ)過去+逆接形式) |
⑥条件節(バ)、⑥逆接(ノニ) |
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83 |
33 |
一人で遊びに行っても、楽しくない。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ヒトリデ {アスビー/アソビー} {イッテモ/イッタッテ/イットーッテ} {タノシク ネー/タノシクナン ネー}。 |
|
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。
・タノシクナン ネーは「楽しくなんてない」の意。「楽しくならない」ではない。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
動詞:譲歩
形容詞:否定(断定非過去) |
①手段(デ)、①目的(ニ)、⑥逆接(テモ) |
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84 |
34 |
天気さえよくなれば、出かけられる。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
テンキ{サエ/セー/カ゜ } ヨク ナリャー デカケレル。 |
|
・テンキカ゜ のように助詞「が」を用いその文節を強調して発音することで極限を表すことも多い。
・甲府市方言を含む山梨西部方言と,山梨東部方言では,条件表現では動詞エ段形に「ば」が付いて融合したナリャーのような形が用いられやすい。
・20と同様,可能表現に「レ足す」の使用がある。 |
複文(副詞節)《平叙文》 |
形容詞:なる
動詞:仮定【予測的条件】
動詞:可能【状況】(断定非過去) |
②極限(サエ)、⑥条件節(バ) |
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85 |
35 |
太郎はまだ中学生だ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
タローワ マダ チューカ゜ クセードー。 |
|
|
単文《平叙文》 |
名詞:断定非過去 |
②主題(ハ) |
まだ |
86 |
36 |
子どものときは1000円でも大金だった。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ボコノ ジブンワ センエンデモ タイキンダットー。 |
|
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
単文《平叙文》 |
名詞:断定過去 |
②主題(ハ)、②極限(デモ)、③連体(ノ) |
|
87 |
37 |
これはどろぼうの足跡だろう。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
コリャ(ー) ドロボーノ アシアトズラ。 |
|
・山梨方言では,甲府市方言に限らず全県的に推量辞にラ,ズラを用いる。 |
単文《平叙文(推量)》 |
名詞:推量非過去 |
②主題(ハ)、③連体(ノ) |
これ |
88 |
38 |
それは私の傘で、あれは先生の傘だ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
ソリャ(ー) ワタシ{ノ/ン} カサデ アリャ(ー) センセー{ノ/ン} カサドー。 |
|
|
複文(副詞節)《平叙文》 |
名詞:中止【並列】
名詞:断定非過去 |
②対比(ハ)、③連体(ノ) |
それ、あれ、一人称代名詞 |
89 |
39 |
もし明日いい天気なら、子どもたちを連れて、どこかへ行こう。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
モシ アシタ イー テンキジャー {ボコタチョー/ボコントー} ツレテ ドッカ {イカズ/イカザー/イカダー/イクジャン}。 |
|
・29と同様,仮定の「なら」がジャーとなる。
・意志表現にはズ,ザー(ダー),ジャンを用いる。現在はジャンの使用が最も多く,ズの使用は高年層が主である。 |
複文(副詞節)《平叙文(意志)》 |
名詞:仮定【予測的条件】
動詞:中止【同時進行】
動詞:意志【勧誘用法】 |
①対象(ヲ)、①相手(ト)、①方向(ヘ)、⑧複数(タチ) |
明日、たち、どこか |
90 |
40 |
この傘と靴は私のではない。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
コノ カサト クツワ ワタシノージャ ネー。 |
|
・名詞代用形式「の」はノーとなる。このノーに続く「では」相当のジャは「ジャー」と長音化することが少ない。 |
単文《平叙文》 |
名詞:否定(断定非過去) |
②主題(ハ)、④並列(ト)、⑧名詞代用形式(ノ) |
この |
91 |
41 |
A:明日もここに来る(か)? B:うん、来ようと思っているよ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:アシタモ コケー クル(ケ)?
B:ウン クル。 |
A:アシタモ コケー クル(ケ)?
B:ウン {コズト/コヨート} {オモッテルヨ/オモーヨ}。 |
・意志表現にはズ,ザー(ダー),ジャンを用いる。現在はジャンの使用が最も多く,ズの使用は高年層が主である。 |
A:単文《疑問文(真偽疑問)》
B:複文(引用節)《平叙文》 |
A:動詞:断定非過去
B:動詞:意志/動詞:継続【結果】(断定非過去) |
A:①着点(ニ)、②累加(モ)、⑦疑問(カ)
B:⑤引用節(ト)、⑦伝達(ヨ) |
A:明日、ここ
B:肯定応答詞 |
92 |
42 |
A:どうして来ないの(か)? 来るって言っていたじゃない(か)。 B:ごめん。ちょっと体調が悪いんだ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:ドーイデ コンデ(ー)? クルッテ {イッタ/イットー}ジャン(ケ)。
B:ゴメン。チット グアイ{ン/カ゜} ワリーダ。 |
|
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
A1:単文《疑問文(疑問詞疑問)》
A2:複文(引用節)《疑問文(確認要求)》
B:単文《平叙文》 |
A1:動詞:否定(連体(ノ)非過去)
A2:動詞:断定非過去/動詞:継続【進行】(断定過去)
B:形容詞:連体(ノ)非過去 |
A1:⑦ノダ、⑦疑問(カ)
A2:⑤引用節(ッテ)、⑦ジャナイカ
B:①対象(ガ)、⑦ノダ |
A:どうして
B:ごめん、ちょっと |
93 |
43 |
A:あそこにいるのは太郎(か)? B:いや、太郎ではなくて、次郎じゃない(か)? |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:{アスコ/アッコ}ニ イルワ タロー(ケ)?
B:イヤ タロージャ(ー) ナクテ ジロージャ(ー) ネー(ケ)? |
|
|
A:複文(名詞節)《疑問文(真偽疑問)》
B:複文(副詞節)《疑問文(確認要求)》 |
A:動詞:連体(ノ)非過去/名詞:断定非過去
B:名詞:否定(中止【並列】)/名詞:否定(断定非過去) |
A:①場所(ニ)、②主題(ハ)、⑤名詞節(ノ)、⑦疑問(カ)
B:⑥副詞節(テ)、⑦ジャナイカ |
A:あそこ
B:否定応答詞 |
94 |
44 |
A:どれがあなた(おまえ)の傘(か)? B:これがわたし(おれ)の傘だよ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:ドレカ゜ オマンノ カサ{ー/デ(ー)}?
B:コレカ゜ ワタシノ カサドー。 |
|
|
A:単文《疑問文(疑問詞疑問)》
B:単文《平叙文》 |
A:名詞:断定非過去
B:名詞:断定非過去 |
A:①主体(ガ)、③連体(ノ)、⑦疑問(カ)
B:①主体(ガ)、③連体(ノ)、⑦伝達(ヨ) |
A:どれ、二人称代名詞
B:これ、一人称代名詞 |
95 |
45 |
A:この本、読む(の)なら貸してやるよ。 B:その本ならもう読んでしまった。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:コノ ホン ヨムジャ(ー) カスヨ。
B:ソノ ホンナラ ヘー ヨンドー。 |
A:コノ ホン ヨムジャ(ー) カシテ ヤルヨ。
B:ソノ ホンナラ ヘー ヨンジマットー。 |
・29と同様,仮定の「なら」がジャーとなる。Bで「本なら」がホンジャーとならないのは,ジャーが「(の)では」由来で,「その本では~」にあたらないためである。
・「てやる」相当を使わないカス,「てしまった」相当を使わないヨンドーのほうが多いと思われる。
・ヨンドーは,過去のトーが撥音に続いてドーとなった例である。 |
A:複文(副詞節)《平叙文》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:連体(ノ)非過去+ナラ【認識的条件】
B:動詞:断定過去 |
A:②主題(無助詞)、⑦伝達(ヨ)
B:②主題(ナラ) |
A:この、てやる
B:その、もう、てしまう |
96 |
46 |
A:隣の家にどろぼうが入ったんだって。 B:え、そうなの? 隣に入った(の)なら、うちも気をつけなければならないね。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:トナリノ イエニ ドロボーカ゜ {ヘーッタダト/ヘーッタト/ヘーットーダト}。
B:ヘ {ホントケ/フントケ}? トナリ{ー/ン} {ヘーッタジャ(ー)/ヘーットージャ(ー)} ウチモ キ{ー/オ} {ツケント/ツケネーナランヨ}。 |
A:トナリノ イエニ ドロボーカ゜ {ヘーッタダト/ヘーッタト/ヘーットーダト}。
B:ヘ ソウケ? トナリ{ー/ン} {ヘーッタジャ(ー)/ヘーットージャ(ー)} ウチモ キ{ー/オ} {ツケント/ツケネーナランヨ}。 |
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。
・伝聞「って」相当が後接する場合トーは使わない。*ヘーットート
・29と同様,仮定の「なら」がジャーとなる。
・甲府市方言を含む山梨西部方言では,否定形にはンが用いられやすい。 |
A:単文《平叙文》
B1:単文《疑問文》
B2:複文(副詞節)《平叙文(当為)》 |
A:動詞:連体(ノ)過去
B1:名詞:連体(ノ)非過去
B2:動詞:連体(ノ)過去+ナラ【認識的条件】/動詞:否定(仮定) |
A:①着点(ニ)、①主体(ガ)、⑦ノダ、⑦伝聞(ッテ)
B1:⑦ノダ
B2:①着点(ニ)、②累加(モ)、⑦当為(ナケレバナラナイ)、⑦同意要求(ネ) |
|
97 |
47 |
A:雨が降りそうだから窓を閉めておいてくれ。 B:もう閉めてあるよ。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:アメン フリソーダカラ マドー シメトイテクリョー。
B:ヘー {シメトー/シメタヨ}。 |
A:アメン フリソーダカラ マドー シメトイテクリョー。
B:ヘー シメテ アルヨ。 |
・「てある」は「た」形で表すことが多い。3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
A:単文《命令文(依頼)》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:命令
B:動詞:断定非過去 |
A:①主体(ガ)、①対象(ヲ)、⑥原因・理由節(カラ)、⑦様態(ソウダ)
B:⑦伝達(ヨ) |
A:ておく、てくれる
B:てある |
98 |
48 |
A:そばを食べに行こうよ。 B:そばよりうどんのほうがいいな。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:ソバ(ー) クイ(ー) {イカザー/イカダー/イッチャー/イクジャン}。
B:ソバ{ヨカ/ヨリカ} ウドン(ノ ホー)カ゜ イーナ。 |
A:ソバ(ー) クイ(ー) イカズ。
B:ソバ{ヨカ/ヨリカ} ウドン(ノ ホー)カ゜ イーナ。 |
・意志表現にはズ,ザー(ダー),ジャンを用いる。現在はジャンの使用が最も多く,ズの使用は高年層が主である。
・イカズは使えるが,古形であり,勧誘表現よりは意志表現にそぐう。 |
A:単文《平叙文(勧誘)》
B:単文《平叙文》 |
A:動詞:意志
B:形容詞:断定非過去 |
A:①対象(ヲ)、①目的(ニ)、⑦伝達(ヨ)
B:⑧比較(ヨリ) |
B:~のほうがいい |
99 |
49 |
A:イロハ書店という本屋がどこにあるか知らない(か)? B:知っているよ。むこうに看板が見えるだろう? |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:イロハショテンッチュー ホンヤカ゜ ドケー アルカ シラン(ケ)?
B:シッテ(ー)ルヨ。ムコーニ カンバンカ゜ メールラ? |
|
・山梨方言では,甲府市方言に限らず全県的に推量辞にラ,ズラを用いる。 |
A:複文(疑問節)《疑問文(真偽疑問)》
B1:単文《平叙文》
B2:単文《疑問文(確認要求)》 |
A:動詞:否定(断定非過去)
B1:動詞:継続【結果】(断定非過去)
B2:動詞:推量非過去 |
A:①主体(ガ)、①場所(ニ)、⑤疑問節(カ)、⑦疑問(カ)、⑧連体引用(トイウ)
B1:⑦伝達(ヨ)
B2:①場所(ニ)、①対象(ガ) |
|
100 |
50 |
A:[本荘うどん]って食べたことがある(か)? B:うん、あれって本当においしいよね。 |
山梨県甲府市 |
女 |
1968 |
A:[ミズシンケ゜ンモチ]ッテ クットー コン アル(ケ)?
B:オー アリャ フントニ ウメー。 |
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・[ミズシンケ゜ンモチ](水信玄餅)は季節限定の和菓子で,2015年頃にできた新製品。山梨の「ほうとう」は山梨方言を使う人はほぼ食べたことがあると思われるので,文意にそぐうものとして水信玄餅にした。
・3と同様,過去の「た」がトーとなる。 |
A:複文(名詞修飾節)《疑問文(真偽疑問)》
B:単文《疑問文(同意要求)》 |
A:動詞:連体過去/動詞:断定非過去
B:形容詞:断定非過去 |
A:②主題(ッテ)、⑦疑問(カ)
B:②主題(ッテ)、⑦同意要求(ヨネ) |
A:したことがある
B:肯定応答詞、あれ
※[]内は当該地域の名物料理。 |